平成25年10月9日(水)河北新報(朝刊)社会(30)

マンション被災判定訴訟
 入居者側の訴え却下 仙台地裁

   仙台市太白区茂庭台の東日本大震災の被災マンション誤判定問題で、入居者の男性4人が市に税の減免分の返還請求を取り消すよう求めた訴訟の判決で、仙台地裁は8日、入居者側の訴えを却下した。入居者側は判決を不服として控訴する。

 斉木教朗裁判長は「行政処分の取り消し訴訟を起こすには、処分について市への審査請求を経ることが要求される」と指摘。「入居者側の訴えは審査請求を経ておらず、不適法だ」と判断した。

 判決などによると、市は2011年5月、マンションを一部損壊とする罹災(りさい)証明書を発行。再調査で大規模半壊とし、市税の減免などを決めた。再々調査で一部損壊と判定を変更、減免分の返還を求めた。

 判決後、入居者側は仙台市内で記者会見した。原告の男性は「不本意な判決」と非難。代理人は「入居者は市に説明会を求めるなどして判定の変更は不当と抗議し、審査請求する必要のない状態だと考えた。判決は入居者を救済する道を門前払いした」と批判した。

 奥山恵美子市長は「市の主張が認められた。妥当な判断と受け止めている」との談話を出した。

平成25年7月4日(木)河北新報(朝刊)社会(24)

被災判定保育料訴訟
変更取り消し請求 仙台市棄却求める 地裁第1回弁論

 東日本大震災による仙台市の被災判定調査で太白区茂庭台のマンション被害程度が大規模半壊から一部損壊に変更された問題で、入居者1人が判定替えに伴う保育料の変更処分の取り消しを市に求めた訴訟の第1回口頭弁論が3日、仙台地方裁であり、市側は請求の棄却を求めた。

 市側は答弁書で「市の条例や規則にのっとって処分しており、違法性はない」などと主張した。

 入居者は意見陳述で「マンションは周りの建物と建設時期や高さ、地盤が同じではなく、被災判定が異なるのは当然」と主張。「減免や支援金を出した後に再調査し、返金を求めることが許されるのであれば、各種支援制度は安心して使えなくなる」と訴えた。

平成25年6月26日(水)河北新報(朝刊)社会(30)

仙台・マンション被災誤判定問題
「支援金返還請求は困難」 内閣府、財団に見解示す

 仙台市太白区茂庭台の被災マンション誤判定問題で、内閣府が昨年2月、「仙台市の調査時の誤りが原因で、被災者生活再建支援金の返還請求は困難」との見解を、支援金の支給に携わる財団法人「都道府県会館」(東京)に示していたことが25日、住民側への取材でわかった。

 ことし4月、財団から支援金計約3600万円の返還を請求された住民46世帯は25日、「財団の処分は違法・不当。内閣府の見解に背く」と、審査を担当する宮城県に処分取り消しを求めた。

 住民側によると、内閣府は財団宛ての文書で「返還請求すれば住民の生活安定に支障を来し、制度への信頼性が損なわれる」と通知した。

 県庁で25日記者会見した住民の酒井光雄さん(65)は「お金は過ちを犯して頂いたわけではなく、生活再建に使った」と主張。佐藤敬二さん(62)は「県は被災住民を抱える自治体として、適切に対応するべきだ」と訴えた。

 県消防課は「法令に基づいて審査する」と説明している。

 住民側によると、仙台市は2011年5月、マンションを一部損壊とする罹災(りさい)証明書を発行。再調査要請に基づき同年8月、大規模半壊とした。さらに再々調査を実施し、昨年2月に一部損壊と判定を変更した。

平成25年6月26日(水)毎日新聞 地方版

東日本大震災
再建支援金の「返還」取り消しを 仙台46世帯、県に請求

 東日本大震災の揺れで被災した仙台市太白区茂庭台のマンションの住民46世帯が25日、支給済みの被災者生活再建支援金の返還取り消しを求め、県に審査請求をした。住民側弁護団によると、一世帯当たり最大150万円の返還を求められているという。市による被災判定が大規模半壊から一部損壊に変更されたことが返還請求の根拠とされ、記者会見した住民は「説明が二転三転し、納得できない」と訴えている。

 弁護団によると、マンションは通路や階段のはりにひびが入った。市は一部損壊と判定したが、住民の要請を受けた2011年8月の再調査で大規模半壊と変更。この判定に基づき、92世帯に支援金(1世帯当たり37万5000〜150万円)が支給された。しかし同年12月、市は「近隣マンションと判定が異なる」として3回目の調査を実施し、再び一部損壊と判定。これに伴い、支援金を支給する財団法人「都道府県会館」が13年4月、支援金の返還請求をした。期限は7月31日。

 住民側によると、内閣府は財団宛ての文書で「返還請求すれば住民の生活安定に支障を来し、制度への信頼性が損なわれる」と通知した。

 住民側は、内閣府が「返還など不利益変更は原則許されない」との見解を同法人に示したとして、「支給後に返還を請求されるのであれば、被災者は支援制度を利用できない」と訴えている。

 記者会見した住民の男性2人は、支援金で壊れた家具や電化製品を買い替えたといい、「将来の被災者を守る意味もあり審査請求した」と話していた。

 市によると、判定の変更による支援金の返還請求は、同市ではこの1件のみ。同マンションの被災判定変更に関連して、住民が2件の民事訴訟を起こしている。【久木田照子】

平成25年6月4日(火)河北新報(朝刊)社会(28)

マンション被災判定で保育料減免変更
処分取り消し求める 入居者の男性、仙台市を提訴

 東日本大震災による仙台市の被災判定調査で太白区茂庭台のマンションの被害程度が大規模半壊から一部損壊に変更された問題で、入居者1人が3日までに、市に対し、判定替えに伴う保育料の変更処分取り消しを求める訴えを仙台地裁に起こした。市によると、入居者が保育料の減免適用をめぐって市を訴えるのは初めて。

 訴えによると、市は2011年5月、マンションを一部損壊とする罹災(りさい)証明書を発行し、再調査要請に基づき同年8月、大規模半壊とした。さらに再々調査を実施し、昨年2月に一部損壊と判定を変更した。

 市の福祉事務所は大規模半壊を前提に11年10月、男性に保育料を半額に減免する決定をし、判定替え後の昨年8月に満額に戻す処分をした。

 男性側は「再々調査は住民の申し出がないにに実施され、国の通知に反している。一部損壊との証明書発行も違法だ」と主張している。

 男性は昨年10月、市長に保育料の変更処分取り消しを求めて審査請求した。3か月後も裁決がないため、行政事件訴訟法に基づき提訴が可能となった。市保育課の担当は「訴訟の中身を精査して適切に対応したい」と話している。

平成24年9月28日(金)河北新報(朝刊)社会(26)

マンション被災判定 二転三転
「税減免返還取り消しを」 入居者らが仙台市提訴

 仙台市が被災判定調査で太白区茂庭台のマンションの判定を大規模半壊から一部損壊に修正し、入居者に減免した税などの返還を要請している問題で、入居者の男性4人が27日、市に減免分約640万円の返還請求を取り消すよう求める訴えを仙台地裁に起こした。

 訴えによると、市が昨年5月、東日本大震災の罹災(りさい)証明発行のため被災判定調査で、マンションを一部損壊と認定。入居者の依頼で同年8月に2次判定をした結果、大規模半壊となり、市税の減免など入居者に支援策を実施した。

 入居者からの要請はなかったが、市が同年11月に3次判定をすると、一部損壊に修正。市はことし2月、入居者に判定結果を説明し、市税などの減免処分の返還を求めた。

 入居者側は「市は震災後、生活支援制度の利用を呼び掛けていた。その市が勝手に3次判定を実施し、一方的に減免分の返還を要求することは、制度の趣旨に反している」と主張している。

 市は「まだ訴状が届いていないが、訴状が届き次第、内容を精査し、適切に対応したい」との談話を出した。

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